On the Sunny Slope

都会でもなく、田舎でもない。そんな街でのんびり生活しながら、気になったモノや愛用しているモノをつらつらと。

最近読んだ本。

レシピ本を買い貯める癖があるのは以前から。
それにつられてライフスタイルの本を買ってみることも増えた。

 

今回は有元葉子さんの『私の住まい考』と石黒智子さんの『探さない収納』の2冊。
有元さんの本は彼女らしい源流主義というか本質主義というかを住まいに当てはめたらこうなるのだなと非常に納得がいく感じの本だった。イタリアや野尻湖に別荘を所有している有元さんのライフスタイルは雲の上のような感じは否めないが、彼女の考えのエッセンスは読んでいて小気味良い。彼女は料理においても生活においても、余分なものは徹底的に削ぎ落とすけれど、それに伴う手間、彼女の好きなものを集めることなどは決して削ったりはしていない。ストイックではあるけれど、悲壮感を感じることが少ないのは自身が何を必要としていて、何を基本に生きているのかを理解して実践しているからなのだと思う。

自分に出来るかどうかは何とも言えない。
一時期は彼女のプロデュースする製品を買って使って少し悦に入る時期が自分にはあった。彼女が勧める自身のプロデュースする『la base』の製品にフライパン、クリステルの鍋、バーミックス、クイジナートのフードプロセッサー。いずれも今でも愛用しているし、自分は使い続けるものだと思う。
ただ、それは自分達のライフスタイルの中の『食』という大きなプライオリティを持つ領域で彼女の作るレシピやキッチンコントロールの仕方が自分達の感覚にフィットしたからだろう。
彼女の旅行についての本や生活スタイルの本は素敵だなと思うけれど自分が同じ生活をしたいかと言われると難しい。
自分は仕事が好きだし、今の仕事のペースでは暮らすように旅をすることは物理的に不可能。住まいは今は広めの家だが、賃貸生活を続ける予定の我が家では実現不能な要素は盛りだくさん。
でも彼女の述べるエッセンスを少しずつ取り入れることは出来ているようにも思う。
旅行に行く時は所謂お土産屋に入ることはほとんどなく、レンタカーを使ってウロウロし、地元のスーパーや雑貨店などで自分達のセンスに合ったものを見つけたら買い求める。住まいは限られた条件の中で使いやすくまとめて生活する。
エッセンスを感じ取りながら、自分達のライフスタイルを積み重ねていくことで新しい生活を作っていける感じを持てるからついつい彼女の本は読んでしまうのだと思う。

 

石黒智子さんの本は今回は自分の中では評価が難しい。
彼女らしいシンプルに生活することを追求した本だとは思うが、彼女の考え方や価値観と自分の考え方の方向性の強い違いを感じてしまったからだ。
彼女の本を読みながら、彼女と彼女の夫、姑、息子などの家族の話が出てくる度に何故だか違和感を感じることが以前からあった。
キッチンの設計の際に夫婦で話し合い、息子さんも含めた家族全員が使えるキッチンを設計した考えは大賛成だし、そのことを追求して時間の経過の中で成長するキッチンを作っていく思想も素敵だと思う。
有元さんのようにある意味浮世離れした感じは少ないし、現実味のある価格のものやDIYで仕上げることも厭わないあたりはとても素敵だなと思う。

じゃあどこに違和感を感じているのかと言うと、彼女の他者との距離感なのだ。
彼女の家庭では近年は夫が料理やキッチンワークをしている。
彼女の文章にはそのことが触れられており、彼女の仕事はコーヒーを淹れることになっているようだ。それもご夫婦で決めたことなのだろう。ただ、彼女の文面から、彼女が夫のコーヒー抽出の技術を信頼していない様子が見て取れるのだが、彼女の伝え方が酷くエゴイスティックに感じてしまったのだ。
それは彼女と姑さんの関係にもしかり。彼女は姑はただの他人であり、自分の家族ではないと断言している。彼女と姑さんの関係の全部が見えない以上、彼女だけの問題であるとは言えないけれど、姑さんから見たら、息子と孫は血縁の家族だけれど彼女本人は他人だったと言うことにもなるのだろうし。
ただ、世間に出版される書籍、ずっと保存されることになる書籍に載せる文章としてはどうなのだろうかと思わされてしまったのも事実。
自分が彼女に感じる違和感は彼女の行動やライフスタイルは全て『彼女自身のしたいこと』のみに基づいているように見えてしまうこと。
もちろん、人間はエゴに基づいて生きているし、自分もエゴの塊だとは思うけれど、彼女のそれは究極にストイックな感じさえするのが違和感の理由なのだと思う。

自分は料理が好き。
それは食べた相手が『美味しい!』と喜んでくれることが嬉しいから。
自分は『仲間』と思っている相手が喜んでくれればいいやと思う人だから、世間の皆様から認められたり褒められたりしたいとまでは思えないから、エゴイスティックと思われることは少なくないなぁと仕事をしていて思うことはあるけれど、彼女の場合はそれがもっと際立っているように思えるのだ。
だから彼女は料理を夫に一任出来ているのだろう。
コーヒーも彼女の満足する味に淹れられることが最も優先するのだろう。
それが彼女の本が新しくなる度に感じること。
だから次の本を読むかどうかは…。